海外への引っ越しを検討する際、「費用が一体どれくらいかかるのか」「どんな内訳になっているのか」と不安や疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。
国内の引っ越しとは違い、海外引っ越し費用は複雑で、思わぬ出費が発生しやすいのが現実です。
しかし正しい知識を持てば、不必要なコストを抑え、スムーズに新生活を始めることができます。
本記事では海外引っ越し費用の内訳や相場、費用を抑えるコツまで徹底解説。
費用面で後悔しないために、まずは全体像をしっかりと押さえていきましょう。
海外への引っ越し費用の内訳と相場を徹底解説

海外への引っ越しは国内引っ越しと比べて費用が高額になりやすいです。
さまざまなサービスや輸送方法があるため、費用の内訳や相場をきちんと知っておくことが大切です。
費用には荷物の運送代だけでなく、諸手続き費用や追加サービス、国ごとの条件による違いも含まれます。
輸送方法ごとの費用(航空便・船便・手荷物)
海外への引っ越しでは、主に航空便、船便、手荷物の3つの輸送方法が利用されます。
- 航空便:スピーディですがコストが高く、主に少量の荷物や急ぎの品に適しています。
- 船便:大量の荷物を送る場合に一般的で、費用は比較的安くなりますが、日数がかかります。
- 手荷物:引っ越しと同時に自分で持っていく方法で、超過手荷物料金が発生することがあります。
各方法の選択によって、到着までの日数や費用が大きく異なるため、荷物の量や内容、予算に合わせた輸送手段を選びましょう。
国・地域別の引っ越し費用相場
引っ越し先の国や地域によって、費用相場は大きく異なります。
引っ越し先 | 船便の相場(1㎥あたり) | 航空便の相場(10kgあたり) |
---|---|---|
アメリカ | 30,000~60,000円 | 15,000~25,000円 |
ヨーロッパ(ドイツ・イギリスなど) | 35,000~65,000円 | 18,000~30,000円 |
オーストラリア | 28,000~55,000円 | 14,000~22,000円 |
アジア(シンガポール・タイなど) | 18,000~35,000円 | 9,000~16,000円 |
これらはあくまで目安の金額であり、時期や為替レートによって変動する可能性があります。
荷物の量・重量が費用に与える影響
海外引っ越しの費用は、荷物の量や重量によって大きく変動します。
船便の場合は体積で、航空便や手荷物は重量制限が重視される傾向があります。
大量の荷物を送る場合は、船便を利用するほうが経済的ですが、荷物が少ない場合や急ぎの際は航空便が便利です。
また、梱包サイズや箱の数によっても運賃が変わるため、引っ越し前に不要な物を整理し荷物量を減らすことが節約のポイントです。
費用に含まれるサービス項目
引っ越し費用には以下のようなサービスが含まれる場合が多いです。
- 荷物の梱包作業
- 日本国内の集荷・搬出
- 海外までの輸送費用
- 現地での搬入・開梱
- 通関手続き・書類手配
- 保険の手配
業者によりサービス内容や含まれる範囲は異なるため、見積もり時に詳細をしっかり確認しましょう。
追加で発生する可能性のある費用
基本料金以外に、状況によって費用が加算されることがあります。
例えばエレベーターのない建物での搬出入、遠方への配送、配送先での階段上げ、荷物の一時保管料金などが挙げられます。
また、現地での税金や特別な輸入規制への対応費用が必要になる場合もあります。
これらの追加費用を事前に把握し、総額を見積もることが大切です。
引っ越し業者を利用した場合の価格目安
プロの引っ越し業者を利用すると、サービスの質や安心感は高まりますが、その分費用も高くなりがちです。
目安として、家族世帯(2LDK・20㎥程度)の場合、アメリカやヨーロッパへの船便では総額60万~120万円程度、アジア方面では40万~80万円程度が参考になります。
単身や荷物の少ない場合は、10万~30万円程度から利用できます。
迅速な航空便や特別なサービスを追加すると、費用はさらに上がるため、複数社で見積もりを取り比較検討するのが賢明です。
海外引っ越し費用を安く抑えるポイント

海外への引っ越しは大きな費用がかかるイメージがありますが、工夫次第でコストを抑えることが可能です。
無駄な金額を払わずに賢く引っ越しを進めるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
ここでは、節約につながる実践的な方法を紹介します。
荷物の選別とミニマル化
海外引っ越し費用のほとんどは荷物の量によって決まることが多いです。
必要なものと不要なものをしっかり仕分けし、可能な限り荷物を減らすことで、輸送コストを大幅に削減できます。
- 現地でも調達できる日用品や家具は持ち込まない
- 季節外や長らく使っていないものは処分する
- デジタル化できる書類や写真は電子保存に切り替える
自分で梱包をすると、手間はかかりますが費用をさらに抑えることも可能です。
時期やシーズンによる料金変動
引っ越しの時期によっても費用には大きな差が出ます。
特に春や夏の繁忙期は申し込みが集中するため、料金が高くなる傾向があります。
繁忙期・閑散期による費用の特徴を表にまとめました。
時期 | 費用傾向 | ポイント |
---|---|---|
繁忙期(3月〜8月) | 高い | 早めの予約でも割高になることが多い |
閑散期(9月〜2月) | 安い | 引っ越し会社の割引やキャンペーンを利用しやすい |
できるだけ閑散期を選ぶことで、費用を抑えた引っ越しが実現しやすくなります。
輸送手段の選び方
海外への荷物の運び方にはいくつか種類があり、それぞれ費用や所要日数が異なります。
主な輸送手段には、船便・航空便・混載便などがあります。
船便は時間がかかりますが低コストで、大量の荷物に向いています。
反対に航空便は高額ですが、荷物が少なく急ぎの場合に便利です。
混載便は他の家庭と荷物をまとめて送るため、小規模な引っ越しに適します。
荷物の量や希望の到着時期に合わせて最適な方法を選びましょう。
複数社の見積もり比較の重要性
海外引っ越し専門の業者によって、提示される費用やサービス内容には大きな違いがあることがあります。
一社だけで即決せず、複数社から見積もりを取り寄せて比較することが節約のポイントです。
比較の際に注目する主な項目は以下の通りです。
- 基本料金と追加料金の有無
- サービスの範囲(梱包・開梱・現地サポートなど)
- 保険内容と補償範囲
- 口コミや評判
納得できる内容と価格バランスの業者に依頼することで、コストも安心感も手に入れることができます。
海外引っ越し費用に含まれる主要な項目

海外への引っ越しの際に必要となる費用には、さまざまな項目があります。
これらをしっかり把握しておくことで、予算の計画もしやすくなります。
一般的な国内の引っ越しとは異なり、海外ならではの費用が発生する点にも注意が必要です。
主要な費用項目について、以下で詳しくご紹介します。
梱包・開梱サービス
梱包や開梱サービスは、海外引っ越しにおいて非常に重要な工程です。
専門スタッフが荷物を丁寧に梱包し、輸送時の破損リスクを減らしてくれます。
また、現地での開梱もお任せできるため、自分で作業する手間を大幅に省けます。
- 高価な家具や割れ物も安心して運べる
- 現地の言葉がわからなくても安心
- 引っ越し後の片付けがスムーズ
サービス内容によっては追加料金が発生することもあるため、事前に確認しましょう。
引っ越し保険料
海外への荷物の輸送では、外的要因によるトラブルも想定されます。
万が一に備えて、引っ越し保険への加入が推奨されます。
保証内容 | 例 |
---|---|
基本保証 | 輸送中の破損・紛失 |
オプション保証 | 自然災害や盗難 |
保険料は荷物の総額や内容によって異なりますので、見積もりの際にチェックしましょう。
通関手続き代行料
海外に荷物を送る際は、出国・入国双方で通関手続きが必要です。
これを代行してくれるのが、引っ越し業者による通関手続きサービスです。
煩雑な書類作成や、予想外のトラブルにも対応してもらえるため安心です。
代行料は国や荷物の量によって異なりますが、必要経費と考えておきましょう。
一時保管費用
赴任先や新居の都合で、すぐに荷物を受け取れない場合に利用するのが一時保管サービスです。
倉庫で安全に荷物を保管できるため、日本や海外現地でのスケジュール調整がしやすくなります。
保管期間や荷物の量に応じて費用が決まるので、必要な日数や予算を事前に確認しておきましょう。
目的地での配送費用
現地に到着した荷物を新居まで運ぶための費用も、海外引っ越しの見積もりに含まれます。
物件の立地や道路事情によっては追加費用が発生することもあります。
エレベーターの有無や大型家具の搬入の有無も関係するため、事前に打ち合わせしておくと安心です。
目的地別で変わる海外引っ越し費用の特徴

海外への引っ越し費用は、引越し先の地域によって大きく異なります。
同じ荷物量でも輸送距離や輸送手段、現地の物価や法律によって価格帯や選ぶべきサービスが変わってきます。
どの地域へ引っ越す場合も、見積もり時点でしっかりと比較することが大切です。
アメリカ・カナダ地域の傾向
アメリカやカナダへの引っ越し費用は、距離が長いことや船便・航空便の選択肢があることが特徴です。
船便の場合は到着までに約1~2か月ほどかかることもあり、その間の生活用品をどうするかも考える必要があります。
主な費用には、輸送費や通関手数料、保険料、現地での搬入費用などが含まれます。
- 荷物量や重量による価格変動が大きい
- 都市部は輸送コストが高め
- 保険加入がほぼ必須
- 現地でのトラック輸送費が追加されやすい
また、アメリカでは州ごとに規制や税金が異なるため、追加費用が発生する場合もあるので注意しましょう。
ヨーロッパ・欧州地域の傾向
ヨーロッパ地域への海外引っ越しは、都市ごとで手続きや費用の差が出やすい特徴があります。
特にEU加盟国では、通関時の手続きが簡略化されることも多く、比較的スムーズに進みやすい傾向です。
一方で、現地での住居までの搬入経路が狭く、追加の人手やクレーン代が掛かるケースもしばしば見られます。
ヨーロッパ主要都市 | 目安となる引っ越し費用 | 想定される追加費用 |
---|---|---|
ロンドン | 80~150万円 | 渋滞税・駐車許可料 |
パリ | 80~160万円 | クレーン搬入費用 |
ベルリン | 75~140万円 | 都市間輸送・保管料 |
このように、目的地の交通事情や建物の立地条件も費用に大きく影響します。
アジア地域の傾向
アジア圏への引っ越しは、比較的近距離なため輸送費が抑えやすいのが強みです。
特に中国、韓国、台湾など人気の国・地域であれば、複数の引越し会社のサービスが比較しやすくなっています。
また、アジアでは住宅事情や現地慣習の違いから、梱包方法や受け取り日時など細かいルール設定がある場合もあります。
現地でのサポート体制や通関手続きが整っている会社を選ぶと安心です。
費用を抑えるコツとしては、不要な荷物を極力減らし、現地調達できるものは購入するのがおすすめです。
企業負担と自己負担の違い・注意点

海外への引っ越し費用を考える際には、企業が費用を負担する場合と自己負担で対応する場合で大きな違いがあります。
どちらのケースも、費用の範囲や支払い方法、サポート体制などを事前に把握しておくことが大切です。
ここでは、それぞれの違いや注意点について詳しく見ていきます。
企業負担で発生する経費の範囲
企業が海外転勤や出向に伴い引っ越し費用を負担してくれるケースでは、費用の範囲が明確に規定されていることが多いです。
代表的な経費には以下のようなものがあります。
- 引っ越し荷物の運搬費(航空便、船便)
- 現地までの渡航費(飛行機代など)
- 一時宿泊費や現地住居の初期費用
- ビザ申請・取得にかかる費用
- 引っ越し保険料
- 通関手続きや関連手数料
会社によっては、家族分の費用までカバーする場合もあります。
ただし、全ての費用が全額補償されるとは限らず、対象範囲外の自己負担が生じることもあるため注意が必要です。
自己負担時に注意すること
自己負担での海外引っ越しの場合は、費用が全額自己負担となるため、事前の計画と手配がとても重要です。
予想外の出費を防ぐためにも、以下のポイントに注意しましょう。
注意ポイント | 内容 |
---|---|
予算の確保 | 引っ越しや移住にかかる全体費用をしっかり見積もることが大切です。 |
複数業者の比較 | 海外引っ越し業者ごとに見積もりを取り、サービス内容や金額を比較しましょう。 |
必要な手続きの把握 | ビザや通関手続き、荷物の搬入制限など事前にチェックが必要です。 |
保険加入 | 万が一に備えて荷物の損害保険に加入することをおすすめします。 |
自己負担の場合は、小さな出費も積み重なって大きな負担になります。
後から後悔しないためにも、しっかりと準備しましょう。
補助金や手当の有無
企業からのサポートがない場合でも、国や自治体が提供する補助金や一時金、各種手当を利用できる場合があります。
これらの制度を活用することで、引っ越し費用の軽減につながることもあります。
- 地方自治体が実施する海外移住支援金
- 国際機関や公益財団法人の渡航助成
- 一部企業が転職・赴任時に支給する手当
制度の内容や申請条件は、地域や時期によって異なります。
事前に各自治体や関係機関の公式サイトをよく確認して、申請期限や必要書類を把握しておくと良いでしょう。
また、補助金や手当は先着順や予算枠が限られている場合も多いため、早めの情報収集と申請準備がポイントです。
費用トラブルを防ぐための注意事項

海外引っ越しは、日本国内の引っ越しと異なり、予想外の費用が発生しやすい特徴があります。
トラブルを未然に防ぐためには、費用の計算方法や契約内容をしっかり確認しておくことが大切です。
見積もりや契約段階で十分な注意を払うことで、安心して海外への新生活をスタートさせることができます。
見積もり時の確認ポイント
海外引っ越しの費用を見積もる際は、必ずいくつかの業者から見積もりを取ることが大切です。
見積もり金額に何が含まれているか、詳細まで説明してもらいましょう。
例えば、梱包材費用、荷物の搬出・搬入作業費、保険料、通関手続き費用、現地での配送費用など、見積もり内容を項目ごとにチェックします。
また、不明点はその場で質問し、曖昧な内容は必ず書面で確認しておくと安心です。
- 見積もりの有効期限を把握する
- 数量や重量の基準が明確か確認する
- オプションサービスの費用が明示されているか
- 追加費用の条件について説明を受ける
追加費用が発生しやすいケース
海外引っ越しでよくある追加費用の原因について、主なケースをまとめました。
ケース | 理由 |
---|---|
ダンボールや荷物が想定より増えた場合 | 荷物の量や重量が契約時より多いと追加料金が発生する |
エレベーターなしの高層階 | 搬出入作業の難易度が高く、特別料金が加算されることが多い |
現地での通関手続きで追加書類が必要 | 急な手続き変更や追加手数料がかかる場合がある |
引っ越し先の受け取り日時変更 | 保管料や再配達料が発生する可能性がある |
これらのケースは事前に確認し、予算に余裕を持たせておくと安心です。
契約前に把握すべき事項
契約書を交わす前に、キャンセルポリシーや賠償責任の範囲について必ず確認しましょう。
特に海外輸送中の破損や紛失に対して、どのように補償されるのかを把握しておくことが重要です。
また、業者によっては通関トラブル時の対応や追加費用の請求方法が異なります。
見積もり時に約束された内容と、最終契約内容に齟齬がないようチェックすることも大切です。
不明点を残さず、納得の上で契約を交わすことが費用トラブル防止の基本です。
海外への引っ越し費用に関する総合まとめ

ここまで、海外への引っ越し費用についてさまざまな角度から解説してきました。
海外引っ越しは国内の引っ越しと異なり、費用の内訳や必要な手続きも多岐にわたります。
そのため、なるべく早めに情報収集を始め、余裕を持った準備が大切です。
見積もりを比較し、ご自身に合ったプランやサービスを選ぶことで、無駄な出費を抑えることも可能です。
また、現地での新生活をスムーズに始めるためにも、費用だけでなく引っ越し後のサポート体制や現地事情も確認しておきましょう。
本記事が、安心して海外での新生活をスタートする一助となれば幸いです。