引っ越し準備で後回しになりやすいのが照明器具で、当日に部屋が暗いまま作業が止まることもあります。
賃貸か持ち家か、天井の器具が直付けか引掛シーリングかで、やるべきことと頼るべき相手が変わります。
このページでは、取り外しの段取りから運搬のコツ、新居での設置、処分や買い替えまでを一連で整理します。
引っ越しで照明器具はどうする
照明器具は「持っていく」「外して処分する」「最初から付いているものは残す」の3パターンに分かれます。
最初にやるべきは、旧居と新居で照明が備え付けかどうかを確認し、持ち運ぶ数を確定させることです。
方向性が決まると、取り外しの難易度や必要な道具、当日の明かり確保まで迷いが減ります。
まずは備え付けか自分の持ち物かを分ける
入居時から付いていた照明は物件の設備扱いになっていることが多く、基本的には外して持ち出さない前提で動くと安全です。
一方で自分で購入して取り付けた照明は原状回復の対象になりやすいので、退去時は外して入居時の状態へ戻す準備が必要です。
迷ったら契約書の付帯設備表や、入居時の写真、管理会社の案内文を見て「最初から付いていたか」を確定させます。
設備かどうかを曖昧にしたまま退去すると、残置物扱いで撤去費用を請求されるリスクが出ます。
判断に迷う段階で管理会社へ一言確認しておくと、当日の立ち会いで揉める確率が下がります。
新居が照明なしの可能性を先に潰す
物件によっては居室に照明が付いておらず、入居当日の夜に暗闇で段ボールを開けることがあります。
内見写真だけでは分かりにくいので、募集図面の設備欄や重要事項説明、引き渡し時の設備説明を見直します。
不明な場合は「居室の照明は付属か」「付属ならどの部屋か」を管理会社へ確認しておきます。
照明がない前提なら、最初の夜をしのぐために仮の明かりを1つ確保しておくと安心です。
引っ越し当日は想像以上に手元が必要なので、作業灯やスタンドライトが一つあるだけで進み方が変わります。
外して持っていくか処分するかの基準を決める
照明器具は軽く見えても梱包が面倒で、ガラスやアクリルのカバーが割れると一気に手間が増えます。
新居の部屋数が増えるなら持っていく優先度は上がり、逆に備え付けが多いなら不要分が出やすくなります。
寿命が近い蛍光灯器具や、黄ばみが気になる古いカバーは、引っ越しを機に買い替えた方が段取りが楽です。
ただし調光調色やタイマー機能付きなど、同等品が高い器具は運搬した方が家計的に有利です。
基準を一度決めると、梱包材の用意や処分の予約を前倒しできるので、直前のバタつきが減ります。
引っ越し前に外すのか当日に外すのかを選ぶ
前日までに外せるなら、作業が明るい時間にでき、落ち着いて部品を保管できるのでミスが減ります。
一方で最後の夜まで照明が必要なら、当日に外してすぐ梱包できるように梱包材と袋を近くへ置きます。
当日外す場合は、外した直後に部品をまとめて袋へ入れ、器具と一緒に段ボールへ固定します。
外した後の明かりがなくなるので、スマホライトだけに頼らず懐中電灯や作業灯も用意します。
夜の作業は落下や破損が起きやすいので、可能なら日中のうちに外す段取りを優先します。
梱包は家電ではなく割れ物として考える
照明器具は形がいびつで、カバーやリモコン、アダプターが別体になっているため、家電より割れ物に近い扱いが必要です。
カバーはプチプチで面を守り、角が当たらないように段ボールの中央に固定して動かない状態にします。
本体とアダプター、リモコンを別袋にすると紛失が起きるので、同じ袋にまとめて器具にテープで留めます。
電球が付いたままの器具は振動で緩むことがあるので、可能なら電球を外して別に包みます。
箱が残っているなら純正箱が最強なので、まずは押し入れやクローゼットで箱の有無を探します。
退去時の原状回復で揉めないための動き方
賃貸では「入居時の状態へ戻す」という考え方が基本なので、交換した照明は元に戻せるようにしておくのが安全です。
入居時の照明を保管していない場合でも、天井側の部品を破損させないことが最優先になります。
ビス穴を増やすような設置や配線を触る作業は、原状回復費用が発生しやすいので避けます。
外した照明を置いていきたい場合は、事前に許可を取り、書面やメールで残しておくと後で話がズレにくいです。
許可なしの置き去りは残置物扱いになりやすく、撤去費用が借主負担になることがあるので注意します。
自分で触っていい範囲を最初に線引きする
引掛シーリングに差し込むタイプの照明は、基本的に住人が付け外しできる範囲に収まります。
一方で天井配線と直結している直付け照明や、配線の加工を伴う設置は、電気工事士の資格が必要になることがあります。
無理に触ると感電や火災のリスクだけでなく、法律面でも不利になる可能性があるため、迷った時点で止まる判断が大切です。
天井側に引掛シーリングが見当たらず、器具がネジで固定されて配線が直接つながっていそうなら、基本はプロへ寄せます。
線引きを早めにしておくと、外す日程や依頼先の手配が前倒しできて、引っ越し全体が安定します。
引っ越し当日に困らない仮の明かりを用意する
照明を外した後の部屋は想像以上に暗く、荷物の搬出入や清掃の質が落ちやすいです。
コンセントに挿せる簡易ライトや、モバイルバッテリーで点く作業灯を一つ用意すると安心です。
新居側も同じで、到着直後に照明を付けられないと家具の配置や開梱が止まりやすくなります。
最初に使う箱へライトや延長コードを入れて、最優先で開ける箱として分かるようにします。
照明は生活の快適さだけでなく作業の安全にも直結するので、仮の明かりは保険として扱います。
照明器具のタイプを見分ける
照明の付け外しで迷う原因の多くは、天井側の形状と配線方式が分からないことです。
見分け方が分かれば、自分でできる作業か、プロに任せるべきかの判断が一気に早くなります。
まずは天井の受け口と照明器具の接続部を観察し、型番や方式をメモしておきます。
天井の受け口を見れば難易度がほぼ決まる
照明器具の作業難易度は、天井に引掛シーリングがあるかどうかで大きく変わります。
引掛シーリングがあれば、対応する照明は回して着脱する方式が多く、工具なしで進むこともあります。
受け口が見当たらず器具が天井に密着している場合は、直付けや直結配線の可能性があり、無理に外すのは危険です。
引っ越し前にスマホで天井の写真を撮っておくと、新居で買い足すときの失敗が減ります。
受け口を見ても判断がつかないときは、型番を検索できるように器具のラベルも撮っておきます。
代表的な天井側パーツをざっくり整理する
天井側の形状は似て見えても、対応する器具や必要な作業が異なるため、名称を押さえると早いです。
次の表で、現場でよく出会う受け口の方向性を把握しておくと判断が楽になります。
| 種類 | 引掛シーリング |
|---|---|
| 見た目の目安 | 丸い受け口に差し込み口がある |
| 自分での着脱 | 可能なケースが多い |
| 注意点 | アダプターの相性と耐荷重 |
| 種類 | ローゼット |
| 見た目の目安 | 角形で引っ掛け構造が強め |
| 自分での着脱 | 可能なケースが多い |
| 注意点 | 重量のある器具の固定 |
| 種類 | 直付け |
| 見た目の目安 | 器具が天井に密着し配線が隠れる |
| 自分での着脱 | 避けた方がよい場合がある |
| 注意点 | 資格が必要な工事が含まれる可能性 |
買い替え前に口金と消費電力を押さえる
電球タイプの照明を使う場合は、口金サイズが合わないと取り付けられず、当日に買い直しになりやすいです。
口金はE26やE17などが代表で、器具のラベルや電球の根元に刻印があることが多いです。
調光器対応の必要がある場合は、対応していないLED電球を使うとちらつきが出ることがあります。
電球色や昼白色などの光色も、部屋の用途で好みが分かれるので、旧居の使い心地を思い出して決めます。
引っ越しで一気に変えるなら、部屋ごとに光色を揃えると生活のリズムが整いやすいです。
見分けるときに役立つ観察ポイント
天井側だけでなく、照明器具側の接続部を見ると判断が付くことがあります。
次の観察ポイントを順に見ると、写真だけでもかなり確度が上がります。
- 天井に丸い受け口があるか
- 器具に回して固定するアダプターがあるか
- ネジで天井へ固定されていないか
- 配線が器具内部で直接つながっていそうか
- 型番ラベルが読める位置にあるか
旧居で安全に外す段取り
照明器具の取り外しは、焦りや暗さがあると落下や破損につながりやすい作業です。
手順を決めてから動くと、外す時間が短くなり、部品の紛失も減ります。
まずは電源を確実に落とし、熱が冷めた状態で作業できるタイミングを作ります。
作業前に電源を落として熱を冷ます
照明を点けた直後は器具や電球が熱を持っているので、しばらく冷ましてから触るのが安全です。
感電リスクを避けるために、壁スイッチだけでなく分電盤のブレーカーを落とすと安心感が増します。
ブレーカーを落としたら、家族が間違ってスイッチを入れないように一声かけておきます。
脚立を使う場合は床を片付け、足元が滑らない状態を作ってから上ります。
落下対策として、下に毛布を敷いておくとカバーが割れにくくなります。
引掛シーリングタイプの外し方をイメージする
一般的なシーリングライトは、カバーを外して本体を支えながら接続部を回して外す流れになります。
本体が落ちないように両手で支えつつ、固定部のロックや爪の位置を確認してから動かします。
コネクタがあるタイプは、無理に引っ張らず、つまみを押して外すと断線しにくいです。
外した後は天井側の受け口に異常がないかを見て、割れや変形があれば管理会社へ連絡します。
作業が不安なら、写真を撮りながら手順を残すと新居で取り付けるときに迷いません。
失くしやすい部品をまとめて保管する
照明器具は部品点数が多く、引っ越しで紛失しやすいのがアダプターやリモコン、ネジ類です。
次のような小物は、外した瞬間に一つの袋へ集めて、器具本体にテープで固定します。
- 引掛シーリング用のアダプター
- リモコンと電池
- 固定ネジ
- 取扱説明書
- 予備の電球
外し終わった後に確認しておく項目
照明を外した後は、見落としがあると退去時に指摘されやすいので、短時間で確認しておきます。
特に賃貸では、破損や置き忘れがない状態を作ることが重要です。
| 確認項目 | 天井の受け口に割れがない |
|---|---|
| 確認項目 | 配線やカバーの部品が残っていない |
| 確認項目 | 外した照明の部品が袋に揃っている |
| 確認項目 | 退去前の清掃で照明跡の汚れを拭けている |
| 確認項目 | 引っ越し当日の仮の明かりが確保できている |
新居で取り付けをスムーズにする
新居での照明取り付けは、荷物の搬入より先に片付けると、その後の作業効率が上がります。
ただし無理に急ぐと落下や破損につながるので、明かり確保と安全を優先して順番を組みます。
最初は一部屋だけでも点けられる状態にして、作業のベースを作るのがコツです。
到着後は一部屋だけ先に明かりを作る
新居に着いたら、まずは作業の中心にする部屋の照明を最優先で付けると段取りが安定します。
明るさが確保できると、家具の設置や配線、部品探しが一気に楽になります。
まだカバーを付けずに仮点灯できる器具なら、最低限の状態で点けてから落ち着いて仕上げます。
照明が合わない部屋が出た場合でも、作業基地が明るければ買い足しや手配が前に進みます。
結果として引っ越し当日の疲労が減り、翌日の生活立ち上げが早くなります。
取り付けは焦らず固定の手応えを確認する
引掛シーリングの照明は、差し込んで回して固定するだけに見えても、最後のロック感が弱いと落下につながります。
固定後に軽く揺すって動かないかを確認し、違和感があれば一度外してやり直します。
カバーは片手で支え続けると落としやすいので、姿勢が安定する高さの脚立を使います。
リモコン式は受光部の向きや電池の向きで動かないことがあるので、点灯確認を先に済ませます。
一度でも不安を感じたら、その部屋はいったん仮の明かりでしのぎ、翌日に落ち着いて対応します。
畳数の目安を外すと暗い部屋になりやすい
照明を持ち込むときに起きやすい失敗が、部屋の広さに対して明るさが足りないことです。
メーカーの適用畳数はあくまで目安ですが、最初の選定では強い味方になります。
| 部屋 | 寝室 |
|---|---|
| 見落としやすい点 | 照度が低いと目が疲れやすい |
| 選び方の目安 | 少し明るめを選び調光で落とす |
| 部屋 | リビング |
| 見落としやすい点 | 家具配置で光が遮られる |
| 選び方の目安 | 中心照明に加えて補助灯も検討 |
| 部屋 | キッチン |
| 見落としやすい点 | 手元が影になりやすい |
| 選び方の目安 | 昼白色寄りで作業性を優先 |
合わないときの対処は3つに分ける
持ち込んだ照明が合わない理由は、天井側の受け口が違うか、器具が大きすぎるか、配線方式が違うかのどれかが多いです。
対処を急ぐほど無理をしやすいので、次の順で安全な打ち手へ寄せます。
- 同じ引掛シーリング対応の別器具に差し替える
- 仮の明かりで一晩しのいで翌日に買い足す
- 直付け疑いなら管理会社か電気工事店へ相談する
- 重量がある器具は耐荷重の確認を優先する
- 天井の破損が疑われる場合は写真を撮って連絡する
処分と買い替えの現実的な選択
不要になった照明器具は、自治体の分別ルールと、光源の種類で扱いが分かれます。
勢いで捨てると回収日に出せなかったり、蛍光管の扱いで困ったりするので、引っ越し前に出口を決めます。
売るか譲るか捨てるかを先に決めておくと、段ボールに入れる数が減って引っ越し費用も抑えやすいです。
処分ルートを先に決めると一気に片付く
照明器具は自治体によって「粗大ごみ」「小型家電」「不燃ごみ」など扱いが違うため、必ず居住地のルールに合わせます。
目安として選びやすいように、代表的な処分ルートを整理します。
| 方法 | 自治体の回収 |
|---|---|
| 向くケース | 急ぎで処分したい |
| 注意点 | 分別区分と回収日を確認 |
| 方法 | 小型家電回収 |
| 向くケース | 小さめの照明や部品 |
| 注意点 | 電池や電球は外す |
| 方法 | 不用品回収や引っ越しオプション |
| 向くケース | 量が多い |
| 注意点 | 費用と回収条件を確認 |
蛍光管や電池は分けて扱う
蛍光管は割れやすく、中身の扱いもあるため、器具本体とは別の分別になっている自治体が多いです。
割れないように購入時の紙筒や緩衝材で包み、指定された方法で排出します。
リモコンの電池は入れたままだと漏液で壊れることがあるので、外して別に保管します。
電球も運搬中に緩みやすいので、可能なら外して個別に包みます。
この分け方だけで、引っ越し中の破損と処分の手間が大きく減ります。
まだ使えるなら譲るか売るも選択肢になる
LEDシーリングライトは状態が良ければ再利用しやすく、処分よりも譲渡の方が気持ちよく片付くことがあります。
ただし安全面から、動作確認と付属品の有無を揃えるのが前提になります。
- 点灯と調光調色の動作を確認する
- リモコンとアダプターを揃える
- カバーの割れや欠けを確認する
- 型番と年式をメモする
- 梱包は割れ物として丁寧に行う
買い替えは引っ越し後より前倒しが楽になる
新居の部屋数が増える場合は、引っ越し後に買うより、先に必要数を決めておくと生活の立ち上げが早くなります。
特に寝室や子ども部屋など、夜にすぐ使う部屋は入居初日から点く状態が理想です。
買い替え時は適用畳数だけでなく、調光調色、常夜灯、タイマーなど生活に直結する機能を優先して選びます。
天井の受け口が特殊な場合は、器具選びを間違えると二度手間になるので、事前写真が役に立ちます。
照明は毎日使うものなので、引っ越しのタイミングで使い勝手を整えると満足度が上がります。
出発前に要点を整える
照明器具は、備え付けか持ち物かを分けて数を確定させるだけで、引っ越し準備の迷いが大きく減ります。
引掛シーリング対応なら自分での付け外しがしやすい一方で、直付けや配線加工が疑われるなら早めにプロへ寄せるのが安全です。
外すタイミングはできれば日中にし、部品は袋にまとめて本体へ固定し、割れ物として動かない梱包を徹底します。
新居は最初に一部屋だけでも明かりを作り、合わない場合は無理をせず仮の明かりでしのいで翌日に整えます。
処分は自治体ルールが前提なので、器具と光源と電池を分けて出口を決めておくと、最後の片付けが一気に進みます。


