賃貸への引っ越しを考え始めると、思った以上にさまざまな費用が発生して「どれくらい必要なのだろう」「意外な出費はないか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
賃貸の引っ越し費用は、物件の契約や引っ越し業者への支払い、新生活に必要な家具家電の購入など、多岐にわたります。
この記事では、賃貸の引っ越し費用について、内訳や相場、節約のポイントまでわかりやすく解説し、あなたの不安や疑問にしっかりお応えします。
賃貸引っ越しの費用を賢く見積もり、新生活を気持ちよくスタートさせるためのヒントを、ぜひご覧ください。
賃貸の引っ越し費用はいくらかかるのか
賃貸物件へ引っ越す際にかかる費用は、家賃や敷金・礼金だけでなく、さまざまな名目の出費が発生します。
引っ越しは人生の中でも大きなお金が動くイベントのひとつですので、費用の内訳をしっかりと把握しておくことが大切です。
住み替え先の条件や家族構成によっても費用は変動します。
無理のない予算を計画するためにも、どんな支払いが必要なのか、それぞれの相場を知っておきましょう。
賃貸契約に必要な費用の種類
賃貸物件に入居する際には、主に以下のような契約に関わる費用が必要になります。
- 敷金:退去時の補修などに備えて預けるお金
- 礼金:大家さんに支払う謝礼のお金
- 前家賃:入居月や翌月分の家賃を前払い
- 仲介手数料:不動産会社への仲介サービス料
- 火災保険料:入居者が住宅火災保険に加入
- 保証会社利用料:家賃保証として利用が必要な場合の費用
物件やエリアによって金額に差がある点も把握しておきましょう。
引っ越し業者への支払い費用
引っ越しの際は、自力で運ぶ場合を除き、引っ越し専門業者に依頼するのが一般的です。
このとき必要になるのが、荷物の運搬費用やオプションサービスの料金です。
| 単身(近距離) | ファミリー(近距離) | 単身(長距離) | ファミリー(長距離) |
|---|---|---|---|
| 2万円~5万円 | 5万円~12万円 | 3万円~7万円 | 8万円~20万円 |
荷物の量や移動距離、引っ越し時期によって大きく変動しますので、複数社から見積もりを取るのがおすすめです。
繁忙期(3~4月)は料金が高くなる傾向にあるので、日程に余裕があればオフシーズンを狙いましょう。
家具・家電など購入にかかる費用
新生活を始める場合、家具や家電の新規購入にかかる費用も計算に入れておきましょう。
特に初めて一人暮らしをする場合や、広い部屋に住み替える場合は必要なアイテムが増えることが多いです。
- ベッド・ソファなどの大型家具
- 冷蔵庫・洗濯機・電子レンジなどの家電製品
- テーブル・カーテン・照明器具などの生活雑貨
一度に全て購入するとまとまった金額がかかりますが、必要最低限のものから揃えていくのも一つの方法です。
初期費用の一般的な相場
実際に引っ越し初期費用の総額はどのくらいかかるのか、目安を知っておきましょう。
以下は、首都圏の賃貸物件で多く見られる相場の一例です。
- 敷金・礼金:家賃の1~2か月分ずつ
- 前家賃:家賃の1か月分
- 仲介手数料:家賃の0.5~1か月分
- 火災保険:1.5万円前後(2年間)
- 引っ越し業者:2万~20万円程度(条件による)
- 家具・家電:3万~30万円程度(必要なものによる)
総額は家賃の4カ月分~6カ月分程度を目安にしておくと安心です。
費用計算で見落としやすいポイント
引っ越し費用の計算で、実際には想定していなかった出費も多くあります。
- 既存物件の退去時費用(クリーニングや修繕費など)
- 新居の鍵交換代や消毒費
- インターネット・ガス・水道などの開通・移設費用
- 必要なごみ袋・段ボールの購入費用
- 住所変更に伴う証明書の再発行手数料
こうした細かい費用も、あらかじめ予算に含めておくことで安心して新生活の準備ができます。
一人暮らし・ファミリー世帯の費用の違い
引っ越し費用は、一人暮らしとファミリー世帯でかなり異なります。
| 項目 | 一人暮らし | ファミリー世帯 |
|---|---|---|
| 家賃 | 5万~8万円 | 8万~15万円 |
| 敷金・礼金 | 各1か月分が多い | 2か月分の場合も |
| 引っ越し業者費用 | 2万~7万円 | 8万~20万円 |
| 家具・家電費用 | 3万~10万円 | 10万~30万円 |
世帯人数、荷物の量、部屋の広さによって必要な費用は大きく変わるので、余裕を持った資金計画が大切です。
賃貸契約時に発生する費用の内訳
賃貸物件へ引っ越す際には、月々の家賃だけでなく、契約時にまとまった費用が必要です。
初期費用の内容を理解しておくことで、予算オーバーを防ぐことができます。
ここでは代表的な費用の内訳を説明します。
敷金
敷金は、入居中の家賃滞納や退去時の原状回復費用などに備えて、大家さんに預けるお金です。
多くの場合、家賃1~2ヶ月分が必要となります。
退去時に問題がなければ、敷金は一部または全額が戻ってくることもあります。
ただし、クリーニング代や補修費用が差し引かれることもあるので注意が必要です。
- 家賃1ヶ月分:最も多いケース
- 家賃2ヶ月分:地域や物件によって
- 家賃0ヶ月分:敷金ゼロ物件も増えている
礼金
礼金は、物件オーナーに対して感謝の気持ちを表す名目で支払うお金です。
このお金は返金されることはありません。
多くの場合家賃1ヶ月分が相場ですが、最近は礼金ゼロの物件も増えています。
仲介手数料
不動産会社を通じて賃貸契約を結ぶ場合、仲介手数料が発生します。
法律上は家賃1ヶ月分+消費税が上限です。
実際の金額は交渉の余地がある場合もあります。
| 家賃月額 | 仲介手数料(目安) |
|---|---|
| 50,000円 | 55,000円(税込) |
| 80,000円 | 88,000円(税込) |
前家賃・管理費
賃貸契約時には、翌月分または日割り分の家賃(前家賃)を支払います。
加えて、共用部分の維持管理などに使われる管理費や共益費も一緒に支払うのが一般的です。
前家賃は契約月の日数や契約日によって金額が変動します。
火災保険料
万が一の事故に備えて、火災保険への加入が義務付けられている物件がほとんどです。
保険料は2年間で15,000円~20,000円が目安となります。
保険内容に応じて金額が異なるため、内容はしっかり確認しましょう。
保証料
家賃保証会社を利用する場合、その会社に保証料を支払う必要があります。
一般的には家賃の半月分から1ヶ月分程度を初回に支払い、更新時に追加の保証料がかかることもあります。
保証会社を利用することで、連帯保証人がいなくても契約できる場合が多いです。
鍵交換費用
新しい入居者の安全と防犯のため、多くの物件で鍵の交換が求められます。
鍵交換費用は5,000円~2万円程度が目安で、鍵の種類や物件によって異なります。
ディンプルキーや電子錠の場合は、さらに高額になることがあります。
引っ越し費用に含まれる主な項目
賃貸物件への引っ越しでは、さまざまな費用がかかるため、あらかじめ項目ごとに内容を把握しておくことが大切です。
どの費用がどのタイミングで必要になるかを理解しておくと、計画的に引っ越し準備を進められます。
業者の作業料・運送料
引っ越し業者を利用する場合、一番大きな費用は作業員の人件費や荷物の運搬料金です。
荷物の量や運搬距離、必要なスタッフ数によって金額が変わります。
また、エレベーターの有無や建物の構造によっても追加料金が発生することがあります。
以下は主な作業内容と費用の目安です。
| 項目 | 内容・ポイント | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 基本作業料 | 荷物の搬出入・運搬 | 20,000円~60,000円 |
| オプション作業 | 家具の解体・組立て、ピアノ運搬など | 5,000円~ |
梱包資材費用
荷物を安全に運ぶためには、ダンボールやガムテープ、緩衝材などの梱包資材が必要です。
多くの引っ越し業者では、ダンボールをサービスで提供してくれることもありますが、数量に制限がある場合がほとんどです。
追加分を購入する場合や、自分で手配する場合には費用がかかります。
- ダンボール1枚あたり100円~300円ほどが相場です。
- 大型家具を包むためのビニールカバーやエアキャップは、別途購入が必要なこともあります。
- ガムテープや緩衝材などの消耗品にもコストがかかります。
短距離・長距離で異なる費用
引っ越しの距離によっても費用は大きく異なります。
同一市区町村内の移動であれば比較的安く済みますが、県外や遠方への引っ越しになると運送料が高くなります。
また、長距離の場合は高速道路代や宿泊費、ガソリン代などが追加される場合があります。
距離に応じた見積もりを複数社から取ることも大切です。
繁忙期・閑散期による変動
引っ越し業界では、1~3月や9月などの新生活シーズンは繁忙期とされ、費用が高くなる傾向があります。
逆に、閑散期と呼ばれる時期は料金も抑えやすく、希望日時も通りやすいです。
スケジュールに余裕がある場合は、引っ越し時期をずらすことで費用を節約できることもあります。
事前に見積もりを取り、希望時期と費用のバランスを検討しましょう。
賃貸の引っ越し費用を安くする方法
賃貸物件に引っ越す際は、想像以上にさまざまな費用がかかるものです。
しかし、ちょっとした工夫や事前の準備によって、引っ越し費用を大きく抑えることができます。
ここでは、賃貸の引っ越し費用を安くするための具体的な方法を紹介します。
敷金・礼金ゼロの物件を選ぶ
引っ越し時の初期費用を安く抑えたいなら、まず敷金・礼金が不要な物件を探しましょう。
敷金・礼金はそれぞれ家賃の1〜2か月分が相場ですが、ゼロ物件ならこの費用が不要になります。
ただし、その分家賃が高めに設定されている場合や、退去時の清掃費用が別途かかることもあるので、契約前に細かく条件を確認することが大切です。
インターネットの賃貸情報サイトや不動産会社に「敷金・礼金ゼロ希望」と伝えて探すと見つかりやすくなります。
交渉で仲介手数料を下げる
賃貸契約時には、不動産会社に支払う仲介手数料が発生します。
通常、仲介手数料は家賃の1か月分ですが、交渉次第で半額にしてもらえたり、割引になる場合があります。
- 複数の不動産会社に同じ物件の見積もりをもらう
- 他社の条件を提示して価格交渉する
- キャンペーンや割引サービスを利用する
遠慮せず交渉してみることで、思わぬ節約につながることも多いです。
フリーレント物件の活用
フリーレント物件とは、入居後1〜2か月分の家賃が無料になる特典がついている賃貸物件のことです。
| 物件タイプ | フリーレント期間 | メリット |
|---|---|---|
| マンション | 1〜2か月 | 初期費用を大きく節約できる |
| アパート | 1か月 | すぐに住み始められる |
特に新築や空室期間が長い物件で見られることが多く、初期費用を抑えて引っ越したい人にはとてもおすすめです。
ただし、フリーレント物件は途中解約時に違約金が発生する場合もあるため、契約内容はよく確認しましょう。
格安引っ越し業者の選定
引っ越し業者の料金も、費用を抑える大きなポイントです。
複数の業者から見積もりを取ることで、相場より安い業者を見つけやすくなります。
「単身引っ越しパック」や「平日限定プラン」など、各社独自のお得なプランも比較して選びましょう。
また、地元の中小業者も穴場ですので、大手とあわせて検討するのがコツです。
引っ越し時期を工夫する
引っ越しには繁忙期と閑散期があり、時期によって料金が大きく変わります。
特に3〜4月の繁忙期は料金が高騰するため、5月以降や11月〜1月の閑散期を狙うと費用を安くできます。
予約のタイミングも重要で、できるだけ早めに日程を押さえることで、希望に合ったリーズナブルな業者を選びやすくなります。
家具家電を持ち越して節約
引っ越し先でも使える家具や家電があれば、できるだけ持ち越すことで新規購入費用を抑えられます。
大型家具や家電の搬入には追加料金がかかることがあるので、リストアップして必要なものだけに絞るのもコツです。
不要なものはフリマアプリや買取店で売却し、引っ越し費用の足しにするのもおすすめです。
新生活費用を上手に節約して、無理なく引っ越しを進めましょう。
賃貸の引っ越し費用を支払うタイミングと注意点
賃貸物件への引っ越しでは、費用の支払いタイミングをしっかり把握しておくことが大切です。
一般的に契約時や引っ越し作業前など、複数の段階で費用が発生します。
それぞれの費用がいつ必要になるのかを事前に確認し、無理のないスケジュールで準備しましょう。
契約前に必要な費用の支払い順
賃貸物件の契約時には、いくつかの初期費用が発生します。
これらの費用は、契約前後で支払う順序が決まっている場合が多いです。
- 申込時…申込金や手付金など、部屋を仮押さえするための費用を支払うことがあります。
- 契約時…家賃1ヶ月分や敷金・礼金、仲介手数料、火災保険料など、契約を結ぶための費用をまとめて支払います。
- 契約後…引っ越し日前までに、必要な保証料や追加費用を精算する場合があります。
どの費用がいつ必要になるのかは、不動産会社や物件ごとに異なるため、契約時にしっかり確認しておくことが大切です。
引っ越し業者への依頼と前払い
引っ越し業者に依頼する場合、料金の支払いタイミングにも注意が必要です。
| 支払い方法 | 支払い時期 | 注意点 |
|---|---|---|
| 現金払い | 当日作業前や作業完了後 | 金額を用意しておく |
| 振込・カード決済 | 作業日前日や数日前まで | 支払期限を事前に確認 |
多くの業者は「前払い」を求めるケースが一般的です。
契約時に、支払い方法やキャンセル規定も確認しておきましょう。
分割払い・クレジットカードの利用可否
引っ越し時の出費は高額になるため、分割払いやクレジットカード決済の可否を気にされる方も多いです。
- 賃貸契約の初期費用は、ほとんどが現金一括払いですが、最近ではクレジットカード利用ができる不動産会社も増えています。
- 引っ越し業者によっては、カード払いが可能な場合や、費用を分割できるところもあります。
- ただし、すべての業者や不動産会社が対応しているわけではないので、事前に必ず確認しましょう。
支払い方法によってはポイントが貯まるなどのメリットもありますが、自分の状況に合わせて無理のない方法を選択することが大切です。
引っ越し後に発生する追加費用
賃貸物件への引っ越しでは、契約時や入居時の費用以外にも、実際に住み始めてから発生する追加の費用があります。
これらを事前に知っておくことで、予期せぬ出費を避けることができ、引っ越し後も安心して新生活をスタートできます。
ライフライン契約・開通費用
新居では、水道・電気・ガスなどのライフライン契約が必要になります。
特に、都市ガスの場合は立ち会いが必要なことも多く、ガス開栓の手数料など追加で費用が発生します。
インターネット回線の工事や開通手数料もかかることがあり、引越し初日からインターネットを利用したい場合は早めに準備しましょう。
- 電気:契約のみで済む場合もあれば、名義変更手数料が必要な場合あり
- ガス:開栓時の立ち会い費用や開通手数料がかかる
- 水道:新規開栓の場合、少額の手数料が必要なことがある
- インターネット:引き込み工事費・初期設定費用・新規契約時の手数料など
これらは事前に見積もりを取り、入居後すぐに利用できるよう早めに手配しておきましょう。
住所変更・各種手続き費用
引っ越し後はさまざまな住所変更が必要となります。
住民票移動や運転免許証の住所変更、郵便物の転送など、役所や業者への手続きが発生します。
これらは基本的に無料でできるものが多いですが、中には費用がかかるケースもあります。
| 手続き種類 | 主な費用 | 注意点 |
|---|---|---|
| 住民票移動 | 無料 | 市区町村役場で手続きが必要 |
| 運転免許証住所変更 | 無料 | 警察署や運転免許センターで手続き |
| パスポート住所変更 | 無料 | 記載事項変更旅券を申請する場合は有料 |
| 郵便物の転送届 | 無料 | 期間限定なので注意 |
| クレジットカードや銀行の住所変更 | 無料 | 各社ウェブサイトや店舗で手続き |
引っ越しに伴う住所変更は漏れがないようリストアップしておくと安心です。
部屋のカスタマイズ・修繕費
新しい賃貸物件では、自分らしい空間づくりのために家具やカーテン、収納用品などを新調したくなります。
また、必要に応じて壁紙の貼り替えやフローリングの補修といった軽微なカスタマイズ・修繕が発生する場合もあります。
賃貸物件の場合は、自由にリフォームや改造ができないため、管理会社の許可が必要なことも念頭に置きましょう。
カスタマイズ例や修繕費用の目安は下記の通りです。
- カーテン・ブラインドの新調:5,000円~15,000円程度
- 照明器具の購入・設置:3,000円~10,000円程度
- 壁紙の部分的な張り替え:5,000円~20,000円程度
- 簡易な収納家具の購入:2,000円~10,000円程度
このように、生活に必要なアイテムの追加購入や軽度な修繕が発生するため、初期費用にプラスして余裕を持った予算を用意しておくと安心です。
賃貸の引っ越し費用を後悔しないためのポイント
これまで賃貸の引っ越しにかかる費用や、内訳、抑える工夫などを解説してきました。
転居は大きなイベントである一方、想定外の出費が後から発生しやすいものです。
あらかじめ必要な費用の目安や、節約できるポイントを把握しておくことで、無理のない引っ越し計画が立てられます。
安さだけを重視するのではなく、自分に合った業者やサービスを選ぶことも重要です。
新生活を気持ちよく始めるためにも、しっかりと準備して納得感のある引っ越しにしましょう。
トータルで賢く費用を抑える工夫や、見落としがちな出費にも注意したうえで、新しい暮らしを笑顔でスタートしてください。


