新しい住まいへの引っ越しが決まった際、「今まで都市ガスだったけれど、これからはプロパンガスになる」というケースに戸惑う方も多いのではないでしょうか。
ガス種が変わると、ガス機器の使い方や手続き、さらには毎月のガス料金にまでさまざまな影響が出てきます。
都市ガスからプロパンガスへの引っ越しでは、事前の確認や対応を怠るとトラブルにつながることも少なくありません。
本記事では、ガス種変更時の注意点や手順、費用や選び方まで、引っ越しで失敗しないための情報をわかりやすく解説します。
初めてプロパンガス物件へ転居される方も安心して準備できるよう、ポイントを詳しくご案内しますので、ぜひ最後までご覧ください。
都市ガスからプロパンガスへ引っ越しする際の注意点と手順

都市ガスからプロパンガスへ引っ越す場合、ガスの種類が異なるため、さまざまな点で注意が必要です。
引っ越し先のガス事情にあわせて、機器や契約内容をしっかり確認しておくことが安全で快適な生活の第一歩となります。
ガス種の違いによる機器対応
都市ガスとプロパンガス(LPガス)は成分や燃焼方法が異なります。
都市ガス器具はそのままプロパンガスでは使えず、逆も同様です。
引っ越し時には、既存のガス機器(ガスコンロや給湯器など)が新しいガスの種類に適合しているか必ず確認しましょう。
適合していない場合は買い替えや、メーカーでのガス種変更作業(有償)が必要です。
- 現地にガス機器が備え付けの場合:所有者や管理会社に種類を確認
- 自身の機器を持ち込む場合:メーカーにガス種変換の可否や方法を問い合わせ
- 新規購入の場合:対応ガス種をしっかり確認して購入
誤った使用は重大な事故につながるため、ガス種のチェックは必須です。
引っ越し時のガス会社への連絡手順
引っ越しが決まったら、現在契約している都市ガス会社に閉栓の連絡を行い、新居のプロパンガス会社に開栓の依頼をします。
閉栓・開栓は日時指定が必要で、繁忙期は予約が取りづらいため早めの対応が大切です。
一般的な連絡手順は以下の通りです。
- 現住居の都市ガス会社に閉栓希望日を連絡する
- 閉栓日に立ち会い、最終使用量の確認や精算を行う
- 新居のプロパンガス会社に開栓と契約の申し込みをする
- 入居日に合わせて開栓作業日時を決める
- 契約内容や安全点検について説明を受ける
開栓・閉栓の立ち会いと必要書類
ガスの開栓・閉栓作業には、原則立ち会いが必要です。
立ち会い時には本人確認書類(免許証・保険証など)の提示を求められるケースが多いです。
さらに、賃貸の場合は賃貸借契約書のコピーも必要なことがあります。
下記の表に、主な必要書類をまとめました。
用途 | 必要書類の例 |
---|---|
本人確認 | 運転免許証・健康保険証・マイナンバーカードなど |
契約先確認 | 賃貸借契約書・住民票など |
支払い手続き | 銀行口座情報・クレジットカードなど |
また、ガス会社によって提出書類が異なる場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。
ガス料金の変化と家計への影響
プロパンガスは一般的に都市ガスよりも単価が高い傾向にあります。
月々のガス料金は家庭の使用量や契約プランによって大きく変わりますが、一人暮らしでも数千円の増加となる場合があります。
特に冬季はお湯の使用頻度が増えるため、家計に与える影響も大きくなります。
一方で、プロパンガスは業者によって価格差が大きいため、複数のガス会社の見積りや料金比較を行うとよいでしょう。
長期的なコストを意識して、契約内容や割引サービスもチェックすることがおすすめです。
プロパンガス物件のトラブル事例
プロパンガス物件では「料金が予想以上に高額だった」「ガス切れや供給遅延があった」などのトラブルも報告されています。
以下によくあるトラブルを挙げます。
- 入居時にガス料金や契約内容の説明が不十分だった
- ガスボンベの交換時に一時使用が止まった
- ガス漏れや警報器の誤作動による緊急対応が必要になった
- ガス会社の対応が遅く困った
トラブルを防ぐには、契約前に料金体系やサポート内容をしっかり確認し、物件の管理会社にも事前質問をしておくと安心です。
設備・安全対策の確認事項
プロパンガスはボンベ式のため、ガス漏れや火災など安全対策が都市ガスとは異なります。
入居前に以下のポイントを確認しましょう。
- ガス漏れ警報器が設置されているか
- ガスボンベが風通しのよい場所に保管されているか
- 万が一の緊急連絡先や対応手順が案内されているか
- 定期的な点検やメンテナンスが行われているか
ガス設備周辺には可燃物を置かないなど、日頃のちょっとした心がけも安全につながります。
引っ越し後もガスの取り扱いには十分注意しましょう。
都市ガスとプロパンガスの料金比較

引っ越しで都市ガスからプロパンガスに切り替える場合、料金面でどんな違いがあるのかは多くの方が気になるポイントです。
ガス料金は基本料金と従量課金、さらに割引プランなどで構成されているので、それぞれの特徴を押さえて比較すると分かりやすいです。
基本料金の違い
都市ガスとプロパンガスでは、まず基本料金に差があります。
都市ガスの基本料金は一般的に1,000円前後、プロパンガスはそれよりやや高めの1,500円から2,000円程度となっていることが多いです。
これはプロパンガスが各家庭にボンベを設置して個別配送を行うため、配送費用や保安管理費用などが料金に含まれていることによります。
ガスの種類 | 基本料金(目安/月) |
---|---|
都市ガス | 約1,000円 |
プロパンガス | 約1,500〜2,000円 |
従量単価の目安
ガスをたくさん使うほど気になるのが従量単価です。
都市ガスとプロパンガスでは、この従量料金も大きく異なります。
- 都市ガス:1㎥あたり150〜200円程度が一般的です。
- プロパンガス:1㎥あたり400〜600円程度と、都市ガスの2〜3倍になる場合もあります。
プロパンガスは地域や業者によって価格のばらつきが大きく、割引交渉や比較が重要です。
割引やセットプランの有無
ガス料金は、単体だけでなく他のサービスとのセット割引もチェックしたいポイントです。
都市ガスの場合、大手ガス会社が提供する電気とのセットプランが広まりつつあり、毎月の料金を抑えやすい傾向にあります。
一方、プロパンガスは個別の販売店が多いため、地域ごとに割引プランやキャンペーンの内容も異なります。
プラン | 都市ガス | プロパンガス |
---|---|---|
電気とのセット割 | ◯(大手中心に提供) | △(一部の大手が実施) |
ガス使用量による割引 | あり(段階制料金) | あり(販売店ごとに差) |
引っ越し先でガスの契約先を選ぶ際は、これらの割引やセットプランの有無も忘れずに確認すると良いでしょう。
ガス機器変更の必要性

都市ガスからプロパンガスへ引っ越すと、同じガス機器がそのまま使えるとは限りません。
なぜなら都市ガスとプロパンガスでは性質や燃焼方法が異なり、適合しない機器は正しく動作しないだけでなく、事故や故障につながるおそれがあるからです。
ガス機器の適合可否を確認し、必要に応じて交換や部品の変更を行うことが安全で安心な暮らしのために大切です。
使用中のガス機器の確認方法
まずは自分の持っているガス機器が、都市ガス用かプロパンガス用かを確認する方法を知っておくことが大切です。
一般的にガスコンロや給湯器には、機器本体の目立つ位置や側面に適用ガス種が記載されたラベルやプレートが貼られています。
「都市ガス」「13A」「12A」と書かれている場合は都市ガス用、「LPガス」「プロパン」とあればプロパンガス用です。
- ガス機器本体のラベルを見る
- 取扱説明書や保証書に記載があるか確認
- 製造メーカーのホームページで型番を検索
- 分からない場合はガス会社や専門業者に問い合わせ
ガス種が合っていない機器を無理に使うと、思わぬ事故の原因になるので、必ず事前に確認しましょう。
機器交換にかかる費用
都市ガスからプロパンガスに替える場合、多くの場合はガス機器の交換や部品の変更が必要となります。
費用は機器の種類やグレード、新品か中古かによって幅があります。
機器の種類 | 交換費用(目安) |
---|---|
ガスコンロ | 15,000円~50,000円 |
給湯器 | 70,000円~150,000円 |
ファンヒーター | 20,000円~40,000円 |
機器代のほか、取り付けや取り外しの工事費、古い機器の処分費なども加わるため、全体の予算を事前に確認しておくことが大切です。
家電量販店・工事業者の選び方
ガス機器交換は安全性に関わるため、信頼できる業者選びが大切です。
選ぶポイントはいくつかあります。
- ガス機器の販売・設置実績が豊富であること
- アフターサービスや保証内容がしっかりしているか
- 資格を持った作業員が在籍しているか
- 複数社で見積りを取って相場より極端に安すぎないか確認
最近では家電量販店でもガス機器の取り扱いや設置サービスを行っていますが、工事自体は専門の提携業者が対応することがほとんどです。
価格やサービス内容だけでなく、施工後のサポートの有無なども必ずチェックしておきましょう。
賃貸物件でのガス種確認方法

引っ越し先が都市ガスかプロパンガスかを確認することは、毎月のガス料金や利用方法にも大きく影響します。
賃貸物件の場合、事前にガスの種類をしっかりと見極めておくことが、無用なトラブルを避けるポイントとなります。
ここでは、賃貸物件でのガス種の調べ方について解説します。
大家・管理会社への問い合わせポイント
まずは物件を管理している大家さんや管理会社に確認するのが一番確実な方法です。
問い合わせの際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 「この物件で使用しているガスの種類を教えてください」と具体的に質問する
- 「都市ガス」と「プロパンガス(LPガス)」のどちらなのか明確に回答してもらう
- 場合によってはどのガス会社と契約する必要があるかも聞いておく
- ガスの開栓や閉栓の手続方法についても合わせて尋ねる
聞き方が曖昧だと誤解を生むこともあります。
必ず「都市ガス」と「プロパンガス」の違いを意識して、はっきりと質問しましょう。
現地での見分け方
現地でガス種を見分ける際の手順を表でまとめます。
チェックポイント | 都市ガス | プロパンガス |
---|---|---|
ガスメーターの表示 | 「都市ガス」や「13A」「12A」などの表示 | 「LPガス」「プロパン」「LPG」などの表示 |
ガスボンベの有無 | なし | 屋外に大きなガスボンベが設置されている |
ガス管の色 | 主に白・グレー系 | 主にオレンジ系 |
また、建物の外周やベランダ付近に大きなボンベがあれば、それはプロパンガスの可能性が高いです。
ガスメーターや配管のラベル表示もチェックしてみましょう。
契約書類の確認項目
契約時に受け取る書類でもガスの種類を確認することができます。
主に確認すべき契約書類とその項目は以下の通りです。
- 重要事項説明書の「設備」欄に「都市ガス」または「LPガス」と記載されているかを確認する
- 契約書の中でガス会社名やガスの種類が明記されているページをチェックする
- 入居時にガス開栓手続きについて説明される「ライフライン案内」などの配布資料を読み直す
もし分かりづらい場合は、管理会社や不動産会社に書類のどこを見ればよいか確認を取るのが安心です。
契約内容と現地状況を総合的に確認して、ガス種を間違えないようにしましょう。
プロパンガス物件の選び方とチェックポイント

都市ガスからプロパンガス物件へ引っ越す場合、ガスの供給方法や毎月の料金が大きく異なるため、事前の情報収集がとても重要です。
プロパンガスは、物件によって供給会社や料金体系、サービス内容に幅があります。
快適な新生活を送るためにも、家探しの段階からしっかりとガスに関するポイントを確認しておきましょう。
供給会社の選択肢
プロパンガスは都市ガスと違い、複数のガス会社が存在し、それぞれ特徴が異なります。
同じエリアでも大家さん指定の会社が入っている場合もあれば、入居者自身で選べるケースもあります。
- 物件によってはガス会社が固定されており、変更ができないことがある
- 自分でガス会社を選べる物件では、サービスや料金を比較することが大切
- 供給体制やトラブル時の対応力もチェックポイント
不動産会社や大家さんに確認し、どのガス会社と契約することになるのか、また変更が可能かどうかを事前に聞いておくと安心です。
料金交渉の可能性
プロパンガスの料金は自由料金制のため、都市ガスと比べて値段設定に幅があります。
契約前に見積もりを取り、実際に交渉できるかどうか確認しましょう。
また複数のガス会社で見積もりを取ることで、相場感を掴みやすくなります。
月間使用量 | A社の場合 | B社の場合 | 交渉結果の例 |
---|---|---|---|
5㎥ | 6,500円 | 7,200円 | 6,000円まで値下げ |
10㎥ | 11,000円 | 12,500円 | 10,500円まで値下げ |
料金交渉は大家さんや管理会社経由で行うことが多いので、「交渉できるか」をあらかじめ確認しておくとスムーズです。
過去の料金例や評判の調査
内見時や契約前には、実際にその物件で支払われてきた過去のガス料金例を見せてもらうのがおすすめです。
大家さんや管理会社に、「前の入居者がどれくらいガスを使って、月々いくら支払っていたか」を聞いてみましょう。
また、入居予定地域や候補のガス会社について、インターネットで口コミや評判を調べるのもポイントです。
実際の利用者の声から、料金の透明性やカスタマーサービスの対応についても情報が得られます。
ガス会社の違いによって毎月のコストや満足度が変わるため、しっかりリサーチしておくと安心です。
都市ガスからプロパンガスへ引っ越しした後の生活の変化

ここまで都市ガスとプロパンガスそれぞれの特徴や料金の違いについて解説してきました。
都市ガスからプロパンガスの地域に引っ越しをすると、毎日の生活の中でもいくつかの変化を感じることになるでしょう。
最も大きな違いは光熱費です。
多くの場合、プロパンガスは都市ガスに比べて料金が高く感じられることがあります。
そのため、引っ越し後はガスの使い方や節約方法を意識する方が増える傾向にあります。
また、ガス機器の仕様も異なるため、引っ越しと同時にガスコンロなどを買い替える必要があるという声もよく聞かれます。
一方で、プロパンガスはガスボンベ式のため災害時の復旧が早いという安心感があり、いざという時に心強いというメリットもあります。
引っ越し後は、ガス会社や保守点検の対応が異なることも体験するポイントです。
契約内容や料金プランに納得して利用できるよう、日頃からガス会社の担当者と連絡を取りやすい関係を築いておくと安心です。
このように、都市ガスからプロパンガスへ引っ越した後の生活には様々な変化がありますが、違いを理解して上手に暮らしていくことが大切です。
自分に合った工夫を取り入れ、快適な新生活を楽しみましょう。