引っ越し準備でいちばん悩みやすいのが、ダンボールのサイズ選びです。
大きい箱をたくさん用意すると楽そうに見えますが、重くなりすぎて運べない落とし穴があります。
逆に小さい箱ばかりだと数が増え、部屋の中が箱だらけになって作業が進まなくなります。
だからこそ最初に「よく使うサイズ感」と「荷物の種類ごとの箱の当て方」を押さえるのが近道です。
この記事は、引っ越し当日まで見通しが立つように、サイズの考え方と実務のコツを順番に整理します。
引っ越しのダンボールサイズの選び方
引っ越し用の箱は、サイズの意味を正しく理解し、荷物の重さに合わせて配分するのが基本です。
このセクションでは、表記の読み方から箱数の見積もりまで、最初に決めるべき順番で整理します。
迷ったときに戻れる判断軸を作るつもりで読み進めてください。
サイズ表記の意味
引っ越しでよく見る「100」「120」「140」は、箱の縦横高さの合計がその数値以内という考え方が一般的です。
同じ120サイズでもメーカーで縦横比が違うため、寸法の数字だけでなく“入れたい物が収まる形か”も一緒に見ます。
表記に振り回されず、まずは自分の荷物に対して「小さく重い箱」と「大きく軽い箱」を分ける意識が大切です。
箱の配分の考え方
箱はサイズをそろえるほど管理しやすい一方で、荷物の性質がバラバラだと作業が詰まります。
基本は小さめを主力にして、軽い物だけを中〜大サイズへ逃がす配分が失敗しにくいです。
特に本や食器が多い家は、小さい箱の比率を上げるだけで持ち運びが一気に楽になります。
重さの上限の目安
ダンボールは詰めれば詰めるほど持てなくなるので、体感で「片手で持ち上がる重さ」を上限にします。
重い物を大きい箱に入れると底抜けや腰痛の原因になり、当日の動線が崩れます。
重い物は小箱へ分散し、軽い物だけを大箱へ集約すると安全にスピードが出ます。
大きい箱の落とし穴
大きい箱は衣類やタオルのように軽くてかさばる物に向いています。
しかし大きい箱は「空気を運ぶ箱」になりやすく、隙間が多いと中で荷物が動いて型崩れします。
大きい箱を使うときほど、緩衝材や衣類で隙間を埋める前提で考えると失敗が減ります。
箱数の見積もり
箱数は部屋数よりも「引き出しの数」「本棚の段数」「食器棚の面積」で増減します。
目安を一度ざっくり置き、途中で不足したら追加する設計にすると、過剰購入を防げます。
追加前提で進めるなら、最初は小箱をやや多めに確保しておくと詰め直しが起きにくいです。
特殊な箱の使いどころ
ハンガーに掛かった服は、専用のハンガーボックスがあると梱包時間が大きく短縮できます。
ただし専用箱はスペースを取るため、使う量を決めずに増やすと部屋が一気に狭くなります。
「当日着る服」と「シワが嫌な服」だけを優先して入れると、費用対効果が高くなります。
追加購入の判断
梱包を始めてから足りないことに気づくのは自然なので、焦らず“足りない種類”を見極めます。
小箱が足りないなら重い物が想定より多く、大箱が足りないなら軽い物が想定より多いサインです。
不足の原因を見てから買い足すと、家の荷物に合うサイズ構成へ自然に近づきます。
100から140サイズの感覚を先に掴む
引っ越しでは100〜140あたりの箱が中心になりやすく、まずはこのレンジの違いを体で理解するのが近道です。
ここでは各サイズの向き不向きと、迷いがちな使い分けを具体的に整理します。
サイズが決まると、梱包の順番と買う枚数が一気に決めやすくなります。
100サイズの使い方
100サイズは重い物を入れる主力になりやすく、本や食器のように密度が高い荷物に向きます。
小さい分だけ数は増えますが、持ち上げやすさと安全性が上がり、当日の作業が止まりにくくなります。
重い物が多い人ほど、まず100サイズの確保から考えるとバランスが整います。
- 書籍
- 食器
- 調味料
- 工具
- 小型家電
120サイズの使い方
120サイズは衣類や日用品など、軽めの荷物をまとめる中核になりやすいサイズです。
100サイズだと数が増えすぎる家庭でも、120サイズを混ぜると部屋の段ボール密度が下がります。
ただし詰めすぎると一気に重くなるので、底に重い物を入れない運用が大切です。
- 畳んだ衣類
- タオル
- 雑貨
- 文房具
- 軽い食材ストック
140サイズの使い方
140サイズはかさばるが軽い物を受け止めるための箱として考えると扱いやすいです。
布団や毛布などを入れたい気持ちになりますが、形が崩れると運搬時に膨らんで邪魔になりやすいです。
大箱は“軽さ優先”を守り、持ち上げやすさを犠牲にしないのがコツです。
- アウター
- クッション
- ぬいぐるみ
- 軽い寝具
- 空箱や緩衝材
サイズ早見の整理表
迷ったら「何を入れるか」と「持てるか」を先に決めて、最後にサイズへ落とし込みます。
箱の寸法はメーカー差があるので、表はあくまで感覚を揃えるための早見として使ってください。
| 区分 | 小箱 |
|---|---|
| 目安表記 | 100サイズ |
| 向き | 重い荷物 |
| 例 | 本・食器 |
| 注意 | 詰めすぎ注意 |
| 区分 | 中箱 |
| 目安表記 | 120サイズ |
| 向き | 軽い日用品 |
| 例 | 衣類・雑貨 |
| 注意 | 底に重い物NG |
| 区分 | 大箱 |
| 目安表記 | 140サイズ |
| 向き | かさばる軽量物 |
| 例 | クッション類 |
| 注意 | 隙間埋め必須 |
荷物の種類からサイズを決める
箱のサイズは「家の広さ」よりも「荷物の性質」で最適解が変わります。
このセクションでは、よくある荷物カテゴリごとに、サイズ選びの考え方を具体化します。
何をどの箱へ入れるかが決まると、梱包が流れ作業になってスピードが出ます。
書籍の箱選び
書籍は密度が高く、少し入れただけで重量が跳ね上がります。
大きい箱でまとめようとすると持てなくなるため、小箱で分散するのが安全です。
背表紙が潰れないように立てるか寝かせるかを決め、同じ向きで詰めると形が安定します。
- 小箱を優先
- 隙間は紙で埋める
- 同じ向きで詰める
- 上に重ねすぎない
食器の箱選び
食器は割れ物で重さも出るため、小箱で数量を絞って入れるのが基本です。
皿を立てて並べると衝撃に強くなり、隙間を紙で詰めると中で動かなくなります。
一箱に詰め切ろうとせず、持てる重さの範囲で分散したほうが結果的に早いです。
- 小箱で分散
- 皿は立てる
- 隙間は紙
- 上面に注意書き
衣類の箱選び
衣類は軽いものが多いので、中箱や大箱を使って数を減らすと部屋が散らかりにくいです。
ただしハンガーの服を無理に畳むとシワが増えるため、必要なら専用箱を検討します。
当日すぐ使う服は別の小箱にまとめて、開封の優先順位を作ると生活が止まりません。
| 衣類の種類 | 普段着 |
|---|---|
| おすすめ | 中箱 |
| 衣類の種類 | アウター |
| おすすめ | 大箱 |
| 衣類の種類 | ハンガー服 |
| おすすめ | 専用箱 |
キッチン小物の箱選び
キッチンは細かい物が多く、サイズを間違えると混ざって探せなくなります。
小箱を主力にし、同じ用途の物をひとかたまりで入れると開封が楽です。
液体や粉物は袋でまとめてから箱へ入れると、運搬中の汚れ事故を防げます。
- 同用途でまとめる
- 液体は袋で二重
- 粉物は密封
- ラベルを貼る
家電の箱選び
小型家電は元箱が最強なので、残っているなら優先して使うと故障リスクが下がります。
元箱がない場合は、サイズが近い箱へ緩衝材を多めに入れて固定します。
コード類は別袋でまとめ、同じ箱へ入れて紛失しないようにすると設置が早く終わります。
| ポイント | 元箱を優先 |
|---|---|
| 固定 | 緩衝材で動かさない |
| コード | 袋で一括 |
| 表示 | 天地無用 |
ダンボールの入手先でサイズが変わる
同じ「120サイズ」でも、入手先によって縦横比や強度が違い、使い勝手が変わります。
ここでは代表的な入手ルートと、サイズ選びで失敗しない見方を整理します。
買い足しのときに迷わないように、入手先ごとの特徴を押さえておきましょう。
引っ越し業者の箱
引っ越し業者の箱は、作業効率と積み込みを前提に作られているため、扱いやすいサイズに寄っています。
見積もり時に箱数も調整されることが多く、全体設計を任せたい人には相性が良いです。
ただし追加はタイミングがあるので、梱包開始後の不足が出たら早めに連絡するのが安心です。
- 扱いやすい規格
- 枚数の相談が可能
- 回収サービスがある場合
- 追加は早めが安全
ホームセンターの箱
ホームセンターはサイズの選択肢が多く、細かい用途に合わせて買えるのが強みです。
一方で箱の強度が用途別にバラつくため、重い物は厚めの箱を選ぶ意識が必要です。
サイズを揃えたいなら、同じ商品シリーズで統一すると積み上げが安定します。
| 強み | 種類が多い |
|---|---|
| 弱み | 強度に差 |
| 向く人 | 用途を分けたい |
| コツ | シリーズ統一 |
宅配会社の箱
宅配会社の箱はサイズ体系が明確で、追加購入時に同じ表記を頼れるのが魅力です。
ただし引っ越し用途は宅配よりも重くなりやすいので、強度と底の補強は意識して行います。
入手のしやすさを優先するなら、箱の規格がはっきりしているルートとして覚えておくと便利です。
- 規格が明確
- 追加がしやすい
- 強度を確認
- 底の補強を前提
無料入手の箱
スーパーやドラッグストアで無料入手できる箱は、コストを抑えたいときの味方です。
ただしサイズが揃いにくく、底面積がバラバラだと積み上げにくくなります。
無料箱は軽い物専用にして、重要な荷物は規格箱へ入れるとリスクを抑えられます。
| 向く用途 | 軽い物 |
|---|---|
| 避けたい用途 | 割れ物 |
| 注意 | サイズ不揃い |
| 確認 | 匂い・汚れ |
詰め方次第でサイズの正解が変わる
同じサイズの箱でも、詰め方が悪いと重すぎたり崩れたりして、運搬が難しくなります。
このセクションでは、サイズ選びとセットで考えるべき詰め方の実務ポイントをまとめます。
梱包の質が上がると、箱数の見積もりもブレにくくなります。
重心の置き方
箱の底に重い物、上に軽い物を置くと、運搬中の揺れでも安定しやすいです。
逆に上が重いと箱が傾き、テープが剥がれたり持ち手が破れたりします。
重心を下げるだけで、同じサイズでも運びやすさが段違いになります。
- 重い物は底
- 軽い物は上
- 隙間は埋める
- 底面を平らに
底抜けを防ぐテープ
底面はH貼りを基本にし、重い箱ほどテープの本数を増やして保険をかけます。
段ボールの材質が薄い場合は、底に段ボール片を敷くだけでも強度が上がります。
底抜けは一度起きるとリカバリーが大変なので、ここだけは丁寧に進めるのが結果的に早いです。
| 基本 | H貼り |
|---|---|
| 重い箱 | テープ追加 |
| 補強 | 底に板状紙 |
| 注意 | 端まで密着 |
隙間の埋め方
箱の中に空間が残ると荷物が動き、角が潰れたり割れたりしやすくなります。
新聞紙やタオルなどで隙間を埋め、箱の中で荷物が一体化する状態を作ります。
隙間を埋める発想があると、少し大きい箱でも崩れずに運べます。
- 紙で隙間埋め
- タオルで緩衝
- 袋で小物を束ねる
- 動かない状態を作る
ラベルの付け方
箱のサイズよりも、開封の順番が分からないことが引っ越し直後のストレスになります。
部屋名と用途を短い言葉で書き、同じ側面に統一して貼ると探しやすくなります。
「すぐ使う箱」だけは色や記号で分けて、引っ越し初日をスムーズにします。
- 部屋名
- 用途
- 優先度
- 天地無用
サイズの混在を管理する
サイズが混ざると積み上げが不安定になるので、同じサイズは同じエリアに固めると崩れにくいです。
混在が避けられない場合は、底面が広い箱を下、狭い箱を上にして重ねます。
置き方のルールを決めるだけで、部屋の動線が守られて作業が進みます。
| 同サイズ | 同エリアに集約 |
|---|---|
| 混在時 | 広い底面を下 |
| 動線 | 通路を残す |
| 安全 | 高く積まない |
要点だけで決め切る手順
最後に、迷いがちなサイズ選びを最短で終わらせるための手順を整理します。
細部にこだわる前に、重い物と軽い物を分けて箱を配分するだけで、ほとんどの失敗は避けられます。
まず小箱を主力にして重い荷物を逃がし、次に中箱で日用品をまとめ、最後に大箱は軽い物だけに使います。
箱数は最初から完璧に当てず、梱包を進めて不足した種類だけを追加する設計にすると無駄が減ります。
サイズが揃わない入手先を使う場合は軽い物専用にし、割れ物や重い物は規格箱で守るのが安心です。
この流れで進めれば、引っ越し当日の運びやすさと開封のしやすさが同時に整っていきます。


