ゲーミングチェアを引っ越しで運ぶときは、「分解して小さくする」か「そのまま運ぶ」かで準備量が大きく変わります。
どちらが正解かは、搬出入ルートの幅、作業できる人数、当日の時間、そしてチェアの構造で決まります。
この記事では、分解すべき条件の見極め方から、分解手順の要点、傷を防ぐ梱包、組み立て復帰のコツまでを順番に整理します。
引っ越し当日に焦らないために、あなたの状況に合う段取りを先に決めてしまいましょう。
ゲーミングチェアは引っ越し前に分解するべき?
最初に決めるべきは、分解するかどうかではなく「どの程度まで分解するか」です。
部分的に外すだけで通るケースも多いので、労力とリスクのバランスで判断しましょう。
分解が向く状況
玄関や廊下が狭く、椅子を回転させても通らないときは分解の価値が高いです。
階段の踊り場が小さい物件では、背もたれが引っかかって搬出が止まりやすいです。
トラックの積載量に余裕がない場合も、分解して体積を減らすと他の荷物が安定します。
エレベーターなしで持ち下ろすなら、部品を分けて重量を散らすと腰を守れます。
そのまま運びやすい状況
戸建てや広い共用廊下で動線に余裕があるなら、チェアは椅子のままでも運べます。
ガスシリンダー周りが固着している椅子は、無理に抜こうとすると時間が溶けます。
工具が手元になく、作業場所も確保できないなら、梱包だけ整えて任せるほうが安全です。
汚れや擦れが心配な場合も、分解より養生の質を上げたほうが結果が良いことがあります。
引っ越し業者に任せる線引き
見積もり時に「分解が必要な家具か」を伝えると、当日の作業に組み込まれやすいです。
多くの業者は家具の分解や組み立てに対応しますが、構造によっては不可や有料になることがあります。
ゲーミングチェアは特殊工具が不要な場合が多い一方で、固着や改造品は現場判断になりがちです。
分解の可否が不明なら、型番と写真を事前に共有しておくと話が早いです。
自分で分解する場合の所要感
背もたれと肘置きだけを外す「軽い分解」なら、慣れていなくても30分前後が目安です。
座面の昇降装置まで外す「中くらいの分解」だと、ネジ数が増えるので45〜60分を見込みます。
脚部とガスシリンダーまで完全に分ける「強い分解」は、固着の具合で時間が読めません。
当日にやると焦りやすいので、前日までに一度だけ分解の可否を試すのが堅実です。
壊れやすいポイント
背もたれの固定ネジは、斜めに入れるとネジ山を痛めやすいです。
樹脂カバーは爪で留まっていることが多く、こじると割れやすいので力任せは避けます。
キャスターは抜き差しで受け口が削れやすく、床で転がすと傷も増えます。
合皮やファブリックは擦れに弱いので、運搬時の摩擦対策が実質的な破損防止になります。
分解前に整える準備
作業場所は明るく広いところにして、毛布や養生シートを敷いて床とパーツを守ります。
ネジ類は小袋にまとめ、袋の外側に「背もたれ」「肘」など部位名をテープで書きます。
左右がある部品は、外す前にスマホで正面と裏面の写真を残すと復元が速いです。
六角レンチは付属のものがある場合もありますが、サイズ違いに備えてセットがあると安心です。
分解できないときの代替策
背もたれが外せないなら、肘置きだけ外すだけでも幅が減って通りやすくなります。
それも難しい場合は、椅子全体を毛布で包んでからストレッチフィルムで固定します。
座面の角や肘の先端は擦れやすいので、段ボールの板で当て物を作ると傷が減ります。
運搬中にリクライニングが動くと危ないので、レバーが触れないように養生で押さえます。
分解の手順をざっくり把握して不安を減らす
ゲーミングチェアは構造が共通していることが多く、外す順番さえ押さえれば迷いにくいです。
全部を分ける必要はないので、必要な範囲までの最短ルートを選びましょう。
クッション類を外す
ヘッドレストやランバーサポートが付いている場合は、最初に外して別梱包にします。
クッションは汚れが目立ちやすいので、ビニール袋や衣類用の袋に入れて口を閉じます。
ベルト式なら金具が他の荷物を傷つけることがあるので、金具部分に緩衝材を巻きます。
ここまで外すだけでも、椅子の出っ張りが減って搬出が楽になります。
背もたれを外す
背もたれは左右のフレーム付近にネジが複数あり、六角レンチで外す構造が一般的です。
ネジは一気に外し切るより、左右を交互に緩めると部品がねじれにくいです。
背もたれが急に落ちると合皮を傷つけるので、片手で支えながら外します。
外した背もたれは角が擦れやすいので、毛布で包んでから固定しておくと安心です。
外す場所の早見表
メーカーやモデルで違いはありますが、よくある固定箇所を先に把握すると手が止まりません。
| 部位 | 背もたれ |
|---|---|
| 固定位置 | 左右フレーム付近 |
| 工具 | 六角レンチ |
| ネジの傾向 | 左右合計で複数本 |
| 注意点 | 落下と擦れ |
同じ要領で、肘置きや座面下の装置も「固定位置」を探せば手順は組み立ての逆順になります。
迷ったら無理に引っ張らず、ネジが残っていないか周辺を一周見直すと事故が減ります。
ガスシリンダー周りの安全手順
脚部とガスシリンダーは体重で固着しやすく、ここが分解の難所になりやすいです。
- 床に毛布を敷く
- 座面を支えて転倒防止
- 叩くなら当て木を使う
- 無理なら分離を諦める
- 手袋で保護する
固着が強い場合は、シリンダーと昇降装置を一体のまま外して運ぶ方法も現実的です。
当日に時間が押しているなら、難所に突っ込まず「中くらいの分解」で止めるのが安全策です。
梱包のしかたで傷と汚れを防ぐ
分解の有無にかかわらず、梱包が甘いと擦れや汚れで見た目が一気に劣化します。
素材に合わせて包み方を変えるだけで、引っ越し後の満足度が変わります。
養生材の目安表
最低限の資材を揃えるだけでも、合皮の擦れや樹脂パーツの欠けを防げます。
| 資材 | 毛布 |
|---|---|
| 用途 | 全体の包み |
| 資材 | ストレッチフィルム |
| 用途 | 包みの固定 |
| 資材 | プチプチ |
| 用途 | 角の保護 |
| 資材 | 段ボール板 |
| 用途 | 当て物 |
| 資材 | 養生テープ |
| 用途 | 仮止め |
フィルムは直接貼ると素材に張り付くことがあるので、毛布の上から巻くのが安全です。
テープは粘着が残りにくいものを選び、合皮や布へ直貼りしないようにします。
パーツ別の包み順
部品を分けた場合は、擦れやすい順に包んでからまとめると運搬中にズレにくいです。
- 背もたれを毛布で包む
- 座面を毛布で包む
- 肘置きを緩衝材で巻く
- 脚部をプチプチで保護
- 袋をひとつに集約
背もたれは角が当たりやすいので、段ボール板を当ててから包むと安心です。
肘置きは左右が分かれるため、同じ袋に入れる場合でも印を付けておくと組み立てが速いです。
ネジ紛失を防ぐ
ネジは種類が似ているので、混ぜると復元時に長さ違いで詰みやすいです。
外した部位ごとに小袋を分け、袋にテープで部位名を書けば迷子が減ります。
六角レンチなどの工具も同じ袋に入れると、開封した瞬間に作業が始められます。
袋は座面の裏にテープで軽く固定しておくと、荷物の山に埋もれにくいです。
積載中の擦れを減らす
チェアは横倒しにすると擦れ面が増えるので、可能なら立てた状態で固定するのが理想です。
横倒しになる場合でも、金属部が他の家具に当たらない配置にすると傷が減ります。
キャスターが転がるとズレるので、車輪が動かないように毛布で包んで押さえます。
振動が強いとネジが緩むことがあるので、引っ越し後に増し締めの時間を取ると安心です。
新居での組み立てを短時間で終わらせるコツ
組み立ては「思い出す時間」が一番ムダになりやすいので、再現できる情報を残すのがコツです。
締め方の手順を守ると、ガタつきや異音も減らせます。
写真とラベルの残し方
外す前に写真を撮るだけで、組み立てに必要な判断がほぼ消えます。
- 正面の全体写真
- 背もたれ固定部の接写
- 座面裏の装置の写真
- 左右部品の置き方
- ネジ袋のラベル
左右がある部品は「左はL」などのテープを貼ると、組み立て時に迷いません。
写真は当日見返しやすいように、同じフォルダにまとめておくと手が止まりにくいです。
締め付けの順序
背もたれや肘置きは、いきなり本締めすると穴位置がズレて入りにくくなります。
まず全てのネジを仮止めして位置を合わせ、最後に均等に締めるとストレスが減ります。
締めすぎはネジやレンチを痛めるので、止まったところから必要以上に力をかけないのが基本です。
座り心地の違和感は締め不足が原因のことも多いので、最後に増し締めの時間を取ります。
異音の原因を切り分ける
引っ越し後のギシギシ音は、梱包や運搬そのものより、締め付けの偏りで起きることが多いです。
| 症状 | 背もたれが揺れる |
|---|---|
| 原因 | 固定ネジの緩み |
| 対処 | 均等に増し締め |
| 症状 | 肘置きがガタつく |
| 原因 | 左右の締め差 |
| 対処 | 仮止めから再調整 |
| 症状 | 座面がきしむ |
| 原因 | 装置部の緩み |
| 対処 | 座面裏を点検 |
音が消えない場合は、可動部のグリス切れや摩耗もあり得るので、無理に締め続けないことも大切です。
まずは「締め直しで変化があるか」を見ると、原因の当たりが付きます。
余った部品が出たとき
ワッシャーやカバーの留め具は、落ちていても気づきにくいので床を一周探します。
写真と照らして不足箇所を探すと、闇雲にやり直すより早く復旧できます。
ネジが余るときは、左右のどちらかだけ締め忘れていることが多いです。
不安なら無理に座らず、増し締めと目視確認を終えてから試座します。
業者に頼むときの伝え方と料金の考え方
業者に任せる場合でも、情報が不足すると当日判断になって作業が遅れがちです。
見積もり段階で要点を渡しておくと、分解の要否も含めて段取りが固まります。
見積もりで伝える情報
ゲーミングチェアはサイズと構造が様々なので、情報を揃えるほど当日の手戻りが減ります。
- メーカー名
- 型番
- 購入ページURL
- 現物写真
- 搬出入ルートの幅
玄関や廊下の幅は、メジャーで測って数字で伝えると判断が速くなります。
エレベーターや階段の状況も合わせて伝えると、必要人数の見込みが立ちます。
分解組立の対応範囲を把握する
多くの大手引っ越し会社は家具の分解組立に対応していますが、例外条件もあります。
| 観点 | 基本対応 |
|---|---|
| 内容 | 分解と組立 |
| 観点 | 例外 |
| 内容 | 特殊工具が必要 |
| 観点 | 例外 |
| 内容 | 海外製で難易度高 |
| 観点 | 注意 |
| 内容 | 事前相談が重要 |
公式FAQで「家具の分解組立を承る」旨が明記されている会社もあるので、事前に確認すると安心です。
参考として、サカイ引越センターやアート引越センター、日本通運のFAQには分解組立に関する案内があります。
オプションになりやすい条件
一度組むと分解が難しい家具や、分解でネジ穴が傷むタイプは、対応が分かれやすいです。
改造したチェアや、純正と違うボルトを使っている場合も、作業員が敬遠しやすいです。
作業時間が大きく増えると判断されると、追加料金の対象になることがあります。
迷う場合は「分解は不要で梱包重視にしたい」など希望を言語化してすり合わせます。
自力が不安なときの現実的な選択
分解が不安なら、背もたれだけ外して体積を減らし、残りは業者に任せる形が取りやすいです。
逆に、分解はしない代わりに梱包だけ丁寧にしてもらう相談もできます。
当日の混乱を避けるなら、前日までに「どこまで自分がやるか」を決めておくのが重要です。
引っ越し後に増し締めをする前提で考えると、当日の作業を軽くできます。
引っ越し当日に慌てないための最終整理
ゲーミングチェアを引っ越しで分解するかどうかは、通路の幅と作業時間で決まります。
全部を分ける必要はなく、背もたれや肘置きだけの部分分解でも効果が出ます。
難所になりやすいのはガスシリンダー周りなので、無理なら分離しない判断も大切です。
ネジ管理は小袋とラベルで徹底すると、組み立て復帰が一気に速くなります。
梱包は毛布を主役にして、フィルムは固定用途に回すと素材を傷めにくいです。
組み立ては仮止めから始め、最後に均等に締めるとガタつきや異音が減ります。
業者に任せるなら、型番と写真と動線の幅を早めに渡して当日の判断を減らします。
あなたの環境に合わせて「分解の深さ」を選べば、引っ越し後も気持ちよく座れます。


